それは、冬。

 




枕もとの時計を睨み、
寝起きのよくまわらな
い頭で状況整理。

そしてまた瞼を下ろした。

バイトも入らず、大学
も休みなのに、
なんでまたこんな日に
限って早起きしちゃう
んだか…

「さむ〜…」

一度目が覚めてしまえば、
身にしみこむ寒さを否
応もなく感じてしまう。

11月の末に入って寒
波の本格的な到来と共に、

朝晩の冷え込みはます
ます厳しくなってきた。

添い寝でもしてくれる
人がいれば嬉しいんだけどな。

急に胸に穴が開いたよ うに、
もの悲しさがこみ上げてくる。

何故だろう?

おかげで朝起きるのが
苦痛でしょうがない。

こんなときは外が暖か
くなるまで、寝てるに限る。

布団に残った温もりに
身を寄せて、再び寝入
ろうとした。

その時だった。

ピンポーン。

聞き間違いかと思った。
しかし。

ピンポーン、
ピンポーン…

何度も何度も繰り返す
電子音に、うんざりし
た気持ちになった。

「…はいはい」

インターフォンが鳴っている。
仕方なく、俺は起き上がった。

もちろん寒いので、
寝巻きに毛布をひっか
けたまま。

鍵を開け、ドアノブに
手をかけた。
ドアを開く――



物語の扉は開かれた


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