奈央『なぁ、誠司。俺達って射撃の才能無ぇんじゃね〜の？』
誠司『愚問だな。無いに決まってる』

？？？『お掃除ご苦労。その手を休めて私の話を聞いてもらおうか？』

威圧感溢れる声、それは他の訓練生達をも緊張させる。当然、声の主はわかりきっている。

奈央＆誠司『なんでしょうか、血冬教官』

鴉鬼　血冬（カラスキ　チフユ）、この学校の教官だ。見た目はとても可愛らしい女の子だが、中身はまるで正反対。神の悪戯と考えても悪い冗談としか思えないぐらいの人間。そもそも人間では無いかもしれない。鬼畜生ではないだろうか。

血冬『お前達がさっき構えていたモノは何だ？』

教官が口を開く。
俺と誠司は顔を見合わせ、

奈央＆誠司『銃です、血冬教官』

そう答えた。
教官はウムウムと頷き、再度質問を投げかけてくる。

血冬『そう、銃だ。ではお前達の目の前にあるモノは何だ？』
奈央『えっと…、射撃の的…』

血冬『そこまでわかっててどうして的が射抜けないんだド阿呆がぁぁぁぁぁッ！』

ズダーンッ！

凄まじい力で壁に叩きつけられる俺。無茶苦茶に痛い。

奈央『わかってはいるんですけど、どうしても当てられないんですよ、これが』
奈央『もしかしてこの銃、俺の事がタイプじゃないんじゃないですかね〜』

ガヅンッ！

無言で銃底で殴られた。

血冬『奈央、お前は本当に懲りない奴だな。そのヘラヘラしたツラは好きだ』
奈央『え、教官俺に気があるんですか？』

冗談を冗談で返すと、教官はニッコリと笑って………、

ギリギリギリ………、

奈央『痛っ！？痛ぇぇぇぇぇッ！！！！！』

一瞬にして関節を決められてしまう俺。

奈央『教官の胸の感触が………、ウットリ』
血冬『お前、そのツラ陥没させて欲しいか？』
奈央『でも教官、もうちょっと牛乳飲んで胸を大きくした方がウケは良いと思いますよ』
血冬『むむむッ…。言ってはならん事を………』

さり気なく気にしてたらしい。ムスッとした表情で関節を決めている腕の力を強めてくる。

奈央『俺が揉んであげましょ〜か？男に揉まれると大きく………』

ギリギリギリ………、

奈央『痛ぇぇぇぇぇッ！！！！！』
血冬『大げさな声の割には余裕だな』
奈央『えへへ、そりゃ〜もう。教官様の胸の感触が楽しめますからね。グヘグヘ』
血冬『このまま首を180度回転させられるのと胸の感触を楽しむのは………』
奈央『胸の感触です（即答）』
血冬『このスカポンタン！お前は昼食抜きだ！』
血冬『お前達も撃ち方止め！さっさと片付けてブタのように残飯でも漁って来い！』

バタンッ！

ドアを蹴破って射撃訓練所を後にした教官。
皆は力尽きた俺に合掌し、哀れみの視線をプレゼントしつつその場を去っていく。